1)坪数の考え方が違う
日本で「坪数」と言うと、実際の居住スペースを指すが、台湾では、実際の居住スペースに各部屋が所有している公共(共有)スペースを足したものを指す。例えば、物件情報では「50坪」と表示されていても、この数字には公共スペース(例えば20坪)も含まれているため、実際の居住スペースは30坪しかないことになる。公共スペースに公園やプールなどがあれば、この公共スペースの占める割合が大きくなるので、逆に、実際に住める居住スペースが狭くなるという訳である。
(ちなみに、台湾では、不動産を購入する際は、フロントやエレベーターホールなどの共有スペースも購入価格に含まれている)
よって、物件を閲覧する際は、必ず不動産会社には居住スペースを確認する必要がある。
2)賃貸専用物件が少ない
日本であれば、分譲物件ではなく、賃貸専用物件(つまり、分譲ではなく、投資物件として、賃貸専用に建てられたアパート)も多く見受けられ、比較的、賃貸物件を探すことは簡単だが、台湾では、ビジネスニーズがあまりないのか、賃貸専用物件が非常に少ないと思われる。よって、必然的に、仲介業者を通じて、分譲物件をオーナーから借りることになると思われるが、台湾では人に貸すために不動産を買うのではなく、自己使用を目的とした不動産購入が主と思われるため、必然的に市場に出回るアパートは大きい坪数(例えば、100坪など)の物件がやたら多い。よって、多くの日系企業駐在員の方は、中規模(20−40坪程度)の物件を探す傾向が高いが、なかなかこのような物件がないのが現状だと思われる。また、万が一このような物件を探すことができても、元々、分譲物件のため、オーナーの好みで内装された物件が多く、意外と台湾風デザイン(つまり、ダサい)が多い。よって、モダーンでシンプルなデザインを好む日本人に合った物件を探すのが何かと大変なのが現実である。
3)寺に隣接したアパートには気をつけよう
台湾では、街の至る所で寺があるため、アパートの隣りに寺があることも不思議ではない。この場合、心理的な理由で寺に隣接するアパートを避ける人もいるかもしれないが、寺では定期的にイベントがあるようで、いきなり寝ていると、音楽がガンガン流れてきたり、爆竹が鳴り響くことがたまにある。寺に隣接したアパートを借りる場合は、このような騒音のリスクがあることは考慮に入れておく必要があると思う。
4)オーナーがテレビや家具を買ってくれる場合がある
オーナーによっては、賃貸契約時、テレビや家具を借主に買ってくれるという人もいるようである。日本では考えられないことであるが、台北の賃貸オーナーは、このような人が比較的多いような気がする。
5)ゴミ回収車の回収時間をチェックした方がいい
台北では暑い気候のせいでゴミが腐りやすいせいか、日本のように、ゴミ回収車が外に置いてあるゴミを勝ってに回収するシステムではなく、ゴミ回収車が来たら、逆に、自らがゴミバケツを回収車まで運んで、ゴミを捨てるシステムになっている。この回収合図として、ゴミ回収車から大騒音の音楽が流れてくるのであるが、この音がやたらとうるさい場合がある。また、日中に回収してくれればいいのだが、日中に家にいない人が多いため、通常は夜中の回収となる。住んでいる場所によっては、この大騒音で夜中に起こされる場合があるので、騒音が嫌いな人は、賃貸契約をする前に、回収時間を確認した方がいい。
ただし、ある程度の高級賃貸物件であれば、建物内に物件専用の公共のゴミ捨て場(地下冷蔵庫があるところもある)があるが、その物件周囲に住む住民は、この回収車を利用するのが普通であるため、自分のところに専用ゴミ捨て場があるからと言って、安心してはいけない。
6)火災保険は確認した方がいい
賃貸契約をする際、(1)その物件に火災保険が掛けられているのかどうか、(2)その保険内容について、オーナーに事前確認した方がいい。私は保険の専門家ではないので詳細は知らないが、もしオーナーが火災保険に入っていない場合は特に気をつけた方がいいらしい。つまり、もしオーナーが火災保険に入っていなくて、オーナーの代わりに借主が賃貸物件の火災保険に加入した場合、台湾の変な法律があるらしいので気をつけた方がいいとのこと。この場合、プラス、もし火災が発生した場合、この台湾の変な法律のせいで、保険会社は保険代を支払った借主ではなく、オーナーに保険金を支払うらしい。更に変なことに、保険会社はその損害を保険を掛けた借主に請求するらしい(つまり、折角保険を掛けてやったのに、逆に損をしてしまう法律の盲点があるらしい)。
詳細については、現地の三井住友海上保険などに確認した方がいいと思うが、もしオーナーが火災保険に加入していない場合は、オーナーの代わりに、自分がその賃貸物件に対し保険を掛けるのではなく、あくまでも自己プロテクトのため、(1)近所からの火災等から自分を守る「公共意外責任保険」、(2)賃貸物件を燃やした場合など、オーナーに対し賠償してくれる「承祖人火災法律責任保険」、あとは(3)自己の所有物に対して賠償してくれる保険に加入した方がいいらしい。
現地不動産仲介担当者もオーナーも、この保険についてはあまり知らない人が多いため、賃貸契約をする際はオーナーに確認し、必要な手続きを行った方がいいと思う。
7)交渉は当たり前
台湾では、家賃交渉をすることは当たり前のようです。家賃のみを交渉する人も入れば、家賃、管理費、駐車場代を合算して、総額で交渉する人もいるようです。
また、上記2)と関連する話になりますが、ここ最近の台湾は不動産バブルだったようで、最近不動産を購入したオーナーはバブルの影響で、今の市場価格よりも高い価格で不動産を購入している傾向があります。従って、オーナーがローンを借りている場合、多くのオーナーは毎月のローン支払額より高く貸し出したいため、なかなか値引に応じない人もいるようです。ただし、借主側からすると、「この品質でこの価格は高すぎる」と感じる方も多いようで、このような市場相場と設定家賃に差がある物件はなかなか借り手が見つからないのが現状のような気がします。
8)家賃には、個人価格と法人価格がある
台湾では、個人で借りた場合と法人で借りた場合とでは家賃が違う。法人契約で借りた方が個人で借りるより10%高いのである。理由は、領収書である。原則、家主は、個人借主であろうが、法人借主であろうが、家賃の10%を源泉徴収という形で毎月、国に納入する義務があるのだが、法人相手だと必ず領収書を発行する必要があり、納税から逃れられないため、本来の家賃に10%を上乗せして、法人客のみに請求するのである(つまり、法人相手だと、否応無しに領収書を発行する必要があるが、個人相手だと、領収書を必要としない個人借主が多いため、このような裏の手を使うようだ)。
本来であれば、家賃の10%を納税すべきだろうが、家主としては損をしたくないため、領収書を必要とする法人相手には、家賃に10%をプラスして家賃を請求するようだ。
ただし、台湾政府も既にこのような実態を把握しており、今年から、法律が改正されるような話も聞こえてくる。
(注意)
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